三菱自動車の燃費不正(改ざん)問題について連日様々な報道が飛び交っております。
この燃費不正問題によって提携先の日産自動車やユーザーへの補償、エコカー減税の追加納税負担などへの対処が次々と待ち構えている状態です。
三菱自動車は今後どうなるのか?
今回は三菱自動車への支援や国土交通省からの行政処分、また共同開発社である日産の責任問題などについて考察してみました。
三菱自動車の支援はどうなる?
まずは三菱自動車への支援はどうなるのかについてです。
三菱グループはとても大きな組織ですので、グループからの支援があれば大丈夫なのでは?と思ってしまいますが、2000年代前半のリコール隠しの際に、支援に動いた三菱グループの主力企業は業績が悪化しており、内部からは「今回支援するのは厳しい」との声もあがっているようです。
2000年、2004年とリコール隠し事件の際に、三菱重工業、三菱商事、三菱東京UFJ銀行(当時、東京三菱銀行)の主力3社が中心となって多額の増資を引き受けました。
これにより、三菱自動車は2013年に累積損失を解消して少しずつ業績が回復し財務体質も改善しました。
ただ、現在は支援できた当時とは状況が違います。
それぞれの会社には上場企業として出資に対する説明責任が株主から強く要求されるようになっている上に、三菱重工業は大型客船事業の遅れ、三菱商事は資源原価の下落などでの業績悪化によりグループ会社が三菱自動車を助けられるような状況にありません。
以前のリコール隠し事件でのグループ会社からの支援が結果的に無駄になってしまったと言っても過言ではない今回の燃費不正問題。
グループ会社の経営も芳しくないことも手伝って、支援は簡単には決まらない難しい状況にあるということです。
三菱自動車へ対して国土交通省からの行政処分は?
国土交通省からの行政処分はあるのでしょうか?
石井啓一国土交通相は4月22日の会見で「長年積み上げてきた日本ブランドに対する信頼・信用を失墜させ、ユーザーに対しても多大な迷惑をかけた。猛省を促したい」とコメントしており、ユーザーへの「誠実な対応」も要請しました。
また菅義偉官房長官は「極めて深刻な事案。厳正に対応する」とコメントし、行政処分の可能性を明らかにしております。
これらのことから今回の燃費不正問題で国からの処分がなにもないということはないでしょう。
これから不正に関する様々なことを解明してから行政処分を検討することになりそうです。
燃費不正問題で日産の責任はないのか?
三菱自動車の燃費不正問題は日産の指摘で発覚したわけですが、その日産への補償額が1000億規模にのぼると言われております。
今回燃費不正の対象となった車種は、三菱自動車と一緒に設立した合弁会社「NMKV」(Nissan Mitsubishi Kei Vehicle)で製造しておりました。
となると同じ会社で仲間である日産にも責任があるのではないか?ということにもなります。
ただ共同会社ではありますが、主に開発や製造をしているのが三菱自動車だから今回は三菱自動車の全面的な責任になっているのだという側面があります。
個人的には共同で会社を立ち上げたのであれば、連帯責任があるような気がします。
内部組織事情というのが完全に把握できておりませんので、決めつけはできませんが、今回の不正は日産からの指摘から発覚したことですので、仮に日産が自分たちの責任問題につながるのであれば指摘はしていなかったかもしれません。
つまり責任は三菱自動車にあるという前提があっての不正指摘だったのでしょう。
こちらは一般の方々の一部の意見です。
三菱が開発した車をOEM販売して受益者となっていた日産は、自分が売る商品の出力特性や燃費を販売前に正しいかどうか確認する責任があるはず。それを怠り、今頃三菱自動車に不正を指摘したとしても、とうてい被害者とは言えない。被害者は嘘の燃費を信じて購入した消費者だから。
共同開発、つまり日産と三菱にはお互いにデータを共有する必要があるわけです。三菱は日産に対して、隠し事をした。一方の日産は自社工場で軽自動車の生産をしたいと目論んでいたわけです。日産にとっては、今回の三菱の不祥事は主導権を握るには調度よかったから、公にしたわけです。
日産のバッチをつけていても、開発や生産は三菱ですからね。エンジンに関しては、三菱の物を使っていますから。つまり、日産は日産ブランドを三菱の不祥事でけなされたわけです。まぁ、消費者からしたら日産も責められる立場ですけど、あくまで窓口でしかない。
と日産は加害者で責任をとれというのではなく、少なくとも被害者ではないだろうという意見や、日産の戦略を読み取る意見などがあがっております。
さらに一部の意見では、マスコミが日産への責任について話題にしないのは、日産が大口のスポンサーで三菱自動車は立場が弱いから叩いているのではないか?などの声もあります。
いずれにしろ責任者はどうあれ、ユーザーへできうる限り納得できる補償やフォローが一刻も早く決まることがこの燃費不正問題のやるべき優先事項なのではないでしょうか。
まとめ
燃費不正問題で今後の見通しが全く見えてこない三菱自動車。
果たしてグループ会社からの支援はあるのか。
国土交通省から行政処分はどうなるのか。
日産はあくまで被害者としての立ち位置でいられるのか。
今後の三菱自動車に対する周りの動きにも注目です。