北朝鮮の朝鮮中央放送は、4月27日に党中央委員会政治局が、朝鮮労働党第7回大会(労働党大会)を2016年5月6日、革命の首都平壌で開会することが決定したと報道しました。
北朝鮮の労働党大会が開催されれば36年ぶりのこととなります。
この北朝鮮の党大会とはどんな大会なのか?
また内容や開催する意味は?
日本への影響はあるのでしょうか?
開催とともに警戒されている核実験やミサイル発射の情報についてなどについてまとめてみました。
北朝鮮党大会の内容や意味は何?
そもそもこの北朝鮮の党大会とはどんな内容や意味なのか?
朝鮮労働党の規約によれば、
朝鮮労働党の上位にある最高指導機関」とし、党員全体の意思によって選挙された代表者で構成され、新たに生じた重要な党の路線と政策的問題を討議・決定する指導機関
とされている。
そして党大会で議論されることは、
●中央委員会・党中央検査委員会の事業総括(分析)
●党の綱領と規約の採択または修正・補充
●党の路線と政策・戦略・戦術の基本的な問題討議決定
●党総書記推戴
●党中央委員会と党中央検査委員会の選挙などを行う。
となっております。
つまり国内の政治や経済、韓国との関係、外交の様々な分野に対しての路線や政策などを討議し、決議するという内容の大会となります。
そして、この党大会というのは原則的には5年ごとに開くことになっておりますが36年もの期間が空きました。
なぜそのような長い期間党大会は開かれなかったのか?
その理由は、これまで北朝鮮は党大会を開きたくても開けなかったからでは?と言われております。
つまり党大会を開くほどの政治的、経済的な成果がこれまでなかったからだということです。
前回の第6回大会が開催された1980年以降に北朝鮮の経済状態は少しずつ下降していき、90年代では大飢饉を起こすほどまで悪化。
先代の金正日は非常事態を乗り切るために「軍」の拡大を優先し、「党」の役割が低下していきました。
そうして軍は拡張していきましたが、結局経済の停滞につながり、北朝鮮は政治的にも経済的にも何ら成果が出せずに党大会を開くことができなかったということですね。
北朝鮮の党大会開催の狙いは?
このたび、金正恩は党大会を36年ぶりに開催することを決定しましたが、果てしてその狙いは何なのか?
北朝鮮が党大会を開く最大の狙いは、金正恩が国内や世界に向けて、名実ともに北朝鮮の最高指導者であることをアピールするためだと言われております。
先代の父でも開けなかった党大会を自分が開くことによって自分の権威をアピールし、絶対的な権力者として地位を確立したいのでしょう。
そして狙いはともかく、党大会を開催するからには国民や世界にむけて何らかの成果をアピールしなければなりません。
しかし、その党大会でアピールする成果の内容がお粗末なものであれば、逆に権威が失墜する恐れもあります。
核実験や長距離ミサイルの挑発行為はどうなる?日本への影響は?
北朝鮮としてその成果として挙げたいのが、やはり核や長距離ミサイル実験の成功ということになります。
現在のところ韓国国防省によると、党大会が開かれる5月7日前後に5回目の核実験や新たなミサイルの発射を強行する可能性があるとみて警戒を強めているようです。
パク・クネ大統領も「国際社会の警告にもかかわらず、核実験に踏み切れば、北に未来はないだろう。
より強力な制裁に直面し、外交的な孤立を深める結果となるだけだ」と述べ、強く警告しております。
アメリカ政府の高官も、ミサイル発射や核実験を強行するだろうという見方を示し、北朝鮮に強く影響力を持つ中国に対して圧力を強めるように要求しているとのことです。
これまで今回のような大きなイベントがある際には何かしらこういった軍事的な挑発や実験があるので、両国は非常に警戒を強めていますね。
日本にとってミサイルは日本海や本土の上空を飛んでくる可能性もありますし、しばらく緊張感が続くことになります。
まとめ
36年ぶりに労働党大会を開催することになった北朝鮮。
金正恩が権威をより強固にするために開かれるであろうこの党大会。
党大会を開催するにあたり、核実験やミサイル発射への警戒が強まっております。
一つの国の身勝手な行為によって、近隣諸国や世界を不安や危機感に陥れることだけは避けてほしいものです。