「世界のニナガワ」蜷川幸雄(にながわゆきお)のまさかの遺作となってしまった「尺には尺を」。
元々蜷川作品は、どの作品においても上演前から注目の的なのですが、今回は必至と考えられます!
今回は「尺には尺を」にフォーカスしてお届けいたしますね。
「尺には尺を」のあらすじやネタバレ感想は?
蜷川氏の18番シェイクスピアの作品を題材とした傑作喜劇です。
ウィーン公爵ヴィンセンシオは旅行をするといって、その間のすべての権限をアンジェロに託しポーランドへ発ちます。
しかし旅行の本当の目的は、19年間放置されてきた厳しい法律を、秩序維持のために復活させることでした。
公爵はウィーンに残って修道士になりすまし、アンジェロの様子をこっそり観察しようと計画していたのでした。
アンジェロのことを冷徹、謹厳でよこしまな考えが入り込む隙のない人物だと思っている公爵は、権力を与えることによってどう変化するか見てみたかったのです。
アンジェロは非常に厳格で、風俗を厳しく取り締まり、ウィーン郊外の売春宿をすべて取り壊すのです。
ある日、クローディオという男が彼の婚約者ジュリエットを結婚前に妊娠させてしまいます。
アンジェロは「結婚前に関係を持つことは法に反する」とクローディオに三日以内の死刑を宣告したのでした。
クローディオは友人のルーシオを通じて、修道院にいる妹のイザベラに助けを求めます。
アンジェロのもとを訪れたイザベラは、彼に死刑をとりやめてくれるよう懇願します。
しかしなんとアンジェロはイザベラに恋心を抱いてしまうのです・・・。
主演(キャスト)は藤木直人(ふじきなおひと)や多部未華子(たべみかこ)
藤木直人
蜷川作品では、「海辺のカフカ」(村上春樹原作)に出演。繊細な演技が海外でも好評を得ました。
舞台初演が間近に迫ってきた時期での突然の訃報に以下のコメントを残していらっしゃいます。
今日の稽古終わりでみんなに伝えられたのですがみんな泣いてました。僕も泣きました。他の皆さんに比べれば蜷川さんとの思い出は少ないのですが、一昨年から3年続けてご一緒させていただく事が出来ました。厳しい部分もお持ちでしたが、思い出すのは蜷川さんの優しい笑顔です。
今回の稽古場に来てくださる事は叶わなかったのですが、稽古が始まってすぐ、キャストのみんなで病院に会いに行きました。その時の「頑張って」という言葉と握った手の温かさが今も残っています。蜷川さんの想いを受け継ぎ、蜷川さんの名に恥じない作品になるよう、キャスト、スタッフ一丸となって進んで行くしかないです。心よりご冥福をお祈りいたします。
多部未華子
蜷川作品では、「わたしを離さないで」に出演。主演として確かな演技力を発揮したことは蜷川氏のお墨付きです。
芝居そのものが楽しいものなのか迷走していた時に、光を射してくれたのが、蜷川さんでした。お芝居って楽しいものなんだと心から思える瞬間をいくつも作ってくれました。この感謝の気持ちを忘れることは、今後絶対にありません。蜷川さん、本当にありがとうございました。
公演場所や期間(スケジュール)情報
*2016/5/25(水) ~ 2016/6/11(土) 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール (埼玉県)
*2016/6/17(金) ~ 2016/6/19(日) 北九州芸術劇場 大ホール (福岡県)
*2016/6/24(金) ~ 2016/6/27(月) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ (大阪府)
残念ながら大阪公演のみ、チケットの予定枚数を超えてしまったため前売りは購入できません。
でもまだ諦めないでください。
当日券が必ずありますので!
その他の地域はまだ空きがありますので、この機会に是非遺作を!
まとめ
体調不良というのは、関係者の間では周知の事実だったのですね。
藤木直人によるとキャスト全員でお見舞いに行ったとのこと。
埼玉は蜷川氏の出身地でもあるので、思い出深い地でのカーテンコール出演は、残念ながら望めません。
キャストや舞台関係者の想いが詰まった作品は、きっと天国にいる蜷川幸雄にも届くはずです!
ご盛会をお祈りいたします。